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自立生活センター東大和

中学校福祉ボランティア報告

東大和ボランティア会、ひとみの会、聴覚障害者協会の方々と協力して市内の中学校での授業で福祉体験ボランティアをしに行きました。
8月30日(月)31日(火)には東大和第一中学校、9月2日(木)には東大和第四中学校と、二つの学校で行ないました。 いずれとも快晴に恵まれ、熱気あふれる中での体験学習でした。

内容としては、生徒全員に対しての全体会と障害当事者を講師として招いての車椅子体験、視覚障害の分科会、聴覚障害の分科会に分かれての学習会でした。 全体会ではまずは生徒に向けて、ひとみの会より視覚障害のある人に対するサポートの仕方についてのお話があり、次に聴覚障害の会からは、見た目では障害者だということが分かりづらいということや、独特の拍手の仕方といったお話がありました。 最後に自立生活センターは、肢体不自由の人にも腕が不自由なのか、足なのか、それとも全身なのかと言ったように一人ひとり障害が違うし、それによって使っている車椅子にも様々な種類がある、という話をしました。
その後、生徒達本人の希望に基づいてグループに別れ、それぞれの体験に移っていきました。

車椅子体験では、講師の当事者三名よりそれぞれの障害や生活についての話が30分ほどあった後、ボランティア会の方のデモンストレーションを元にして、生徒達が2人一組となり、車椅子に乗る役、車椅子を押す役を交互にこなして所定のコースを歩いていくということをしました。生徒達からは、「押されているとやっぱり怖い」、「意外と楽しい」という声が聞こえてきました。
車椅子の体験の中には、体育館と渡り廊下の間の3,4段の段差を後ろ向きで降りていくというものがあり、降りる際には大変な注意と大きな力が必要となるので、駅や道路、お店などのバリアフリー化がどれだけ重要なものなのか伝わったのではないかと思います。 また、余裕があった生徒は電動車椅子にも乗っていました。様々な車椅子があると知ることが出来たのではないでしょうか。

 こういった体験学習は非常に意義深いもので、これまでも行なわせていただいています。障害者自身または、周囲の支援者の長い活動の結果、最近は、とりわけ都内では障害者を見かけるのは、珍しくもなんでもないことになりました。
 さて、障害者と一緒に何かを行なうということについてはどうでしょうか。例えば、障害のある人と一緒に学ぶ、働く、暮らしていくということはまだまだ「珍しい」といえることのほうが多いのではないかと思います。
 理由はとても単純でしょう。障害者が適切な教育・就労支援を受ける、あるいは地域生活をきちんと送るという、『当たり前のこと』が出来るようになっていないからです。それらのことは、もちろん制度・法律等の不備によるものですが、「障害者はどうせ何も出来ない」、「地域で生活する必要はない」という偏った考え方が大きく反映しているのではないでしょうか。
 単に、障害のある人がいるということだけでなく、社会の仕組みさえ整っていれば、やり方が少し違うことはあっても、普通の生活を送っていけるのだということを、我々当事者が自分たちから体験学習に積極的に参加し、発言していくことが必要です。
 次に社会に出てくる生徒達が、出来るだけ若い頃から「障害」を知り、関わり、偏見のない障害者観を身につけることで、誰もが排除されないインクルシブ(包含的)な社会をつくることにつながるのだと思います。
 そういった考えに基づいて、これからも体験学習ボランティアを続けていきたいと思います。